新設計でパワーアップ、 シェフラー、燃料電池駆動用の次世代バイポーラプレート(双極板)を開発

シェフラージャパンのプレスリリース

シェフラーの新たな金属製バイポーラプレートを使用した燃料電池スタックは、旧世代プレート使用のスタックに比べ出力密度を約20%向上

シェフラーはドイツ・ヘルツォーゲンアウラッハのパイロット工場で、すでに複数の自動車メーカー向けに金属製バイポーラプレートの試作・少量生産を開始

バイポーラプレートは、あらゆる面において、大量生産への移行を最大限容易にする設計となっている

 
 
シェフラーは、斬新な設計と革新的なコーティングシステムを特徴とする新世代の金属バイポーラプレートを開発しました。この新型プレートを使用した燃料電池スタックは、旧世代のプレートを使用したスタックに比べ、約20パーセント高い出力密度を達成することが可能です。 写真 シェフラー(Daniel Karmann) 
 
 
シェフラーは、水素モビリティ分野における取り組みとして、PEM燃料電池用の新世代金属製バイポーラプレート(双極板)を開発しました。バイポーラプレートはすべての燃料電池システムで使われています。シェフラーが開発したバイポーラプレートは、大量生産に最適化された新たな設計を採用し、燃料電池の長寿命化を実現する革新的なコーティングプロセスを採用しています。さらに、シェフラーの新型バイポーラプレートを使用した燃料電池スタックは、旧世代のバイポーラプレートを使用したスタックに比べ、出力密度が約20%向上します。シェフラーAGオートモーティブ・テクノロジー事業部CEOを務めるマティアス・ツィンクは、次のように述べています。「シェフラーは、商用車の駆動システムに関して、特に長距離輸送アプリケーション向けとして水素技術にも投資を行っています。燃料電池に関し、シェフラーは個々のコンポーネントのほか、サブシステムも開発しており、いずれも本格的な量産化に向けた準備を進めています」。シェフラーは現在、ヘルツォーゲンアウラッハに建設された専用のパイロット生産施設で、複数の国際的自動車メーカーによる試作車や少量生産車向けにこの新型バイポーラプレートを数万枚単位で製造しています。完全に自動化されたこの施設は、複合施設「水素技術センター・オブ・エクセレンス(中核研究施設)」の一部であり、ここには多種多様な試験装置も備えられています。この施設は、水電解装置に使用される大型バイポーラプレートも製造できるように設計されています。こうしてシェフラーは「グリーン水素を使ったサステイナブルなモビリティ」と「グリーン水素の供給」の両方に取り組むことを実現しています。また、シェフラーは、システムに関する専門知識を生かし、お客さまと連携して燃料電池システム用バイポーラプレートやコンポーネントのカスタマイズ開発も行っています。シェフラーは、フランスのHaguenau(アグノー)に設立したSymbioとの合弁会社「 Innoplate 」にて、2024年初めにバイポーラプレートの量産を開始する予定です。
 
出力密度を高める新プレート設計
素人目には、A4サイズの封筒ほどの大きさで、重さわずか60グラムのバイポーラプレートに注目すべき点が多くあるようには見えません。しかし、バイポーラプレートは燃料電池の中核部品であり、プロセスガスや冷却水の分配や、化学反応によって生じる水の排出などのための流路を形成するなど、多くの重要な機能を担っています。「シェフラーは、プレート表面の機能を最適化する革新的な技術を開発しました」と、シェフラーのEモビリティ部門責任者であるヨッヘン・シュレーダー博士は説明します。「バイポーラプレートの構造が微細で精密であればあるほど、効率は高まります」。シェフラーの新しいプレートは、燃料電池体積(エンドプレートとスタックハウジングを含む)1リットルあたり4.6kWの出力密度を実現します。
車両アプリケーションでは、これらのバイポーラプレートを数百枚積層し、それぞれを膜電極接合体(MEA)で挟んでスタックを形成します。バイポーラプレートは、スタック重量の最大80%、体積の最大65%を占めます。最大400枚のセルユニットで構成されるスタックの総出力は最大140kWで、小型商用車に十分なパワーを供給することが可能です。40トンまでの大型商用車には、通常2台の燃料電池スタックが必要です。
 
工業規模の生産
シェフラーの新世代バイポーラプレートも、Design for Manufacturing(DFM、製造性考慮設計)と言われる大規模な量産化を前提にした設計を採用しています。その目的は、水素モビリティが飛躍的な市場拡大を果たすのに十分なレベルのコスト効率と生産の拡張性を達成することにあります。製造面については、金属プレス加工と成形における長年の経験と専門知識を活用し、板厚わずか50~100マイクロメートルのバイポーラプレートに求められる超微細構造を高い精度でプレス加工することに成功しています。
 
シェフラー製金属バイポーラプレートのもう一つの特徴は、採用するコーティングシステムにあります。コーティングの目的は、燃料電池の寿命を通して高い導電性を維持することです。シェフラーのソリューションは、バイポーラプレート専用に開発された 高性能コーティングシステムシリーズ 「Enertect」です。お客さまの要求に応じて、プレートの耐用年数の最長化、カーボンフットプリントの最小化、または価格性能比の最適化など、目的に合わせたコーティング設計が可能です。「表面技術における当社の技術力により、それぞれのお客様に、用途に特化したコーティングソリューションを提供することができます。つまり、コスト、性能、製造時のCO2排出量のバランスについて、お客さまそれぞれの要求を満たすことができるのです」と、ヨッヘン・シュレーダーは話しています。このコーティングは、シェフラーが長年にわたり何百万個と生産してきた高応力バルブトレインコンポーネントの製造で実績のあるPVD(Physical vapor deposition物理蒸着法)コーティングプロセスを特別に適合させ、細部にわたり調整を行って施工されます。そして最後に、品質と安全性の観点から不可欠な燃料電池の気密性と水密性を確保するため、射出成形またはシルクスクリーン印刷されたガスケットを施工し、お客さまの要求に応じて特殊なレーザ溶接も行います。
 
 
バイポーラプレートは、燃料電池において重要な機能を果たします。プロセスガスや冷却水の分配、化学反応によって生じる水の排出などのための流路を形成します。プレートの性能を決定する重要な要素は、その表面のデザインです。プレート上の構造が微細で精密であればあるほど、効率は高くなります。 写真 シェフラー(Daniel Karmann) 
 
 
 
シェフラーの新世代バイポーラプレートは、大規模な量産化を前提にした設計を採用しています。その目的は、水素モビリティが飛躍的な市場拡大を果たすのに十分なレベルのコスト効率と生産の拡張性を達成することにあります。 写真 シェフラー(Daniel Karmann) 
 
 
 
ドイツ・ヘルツォーゲンアウラッハに建設された専用のパイロット生産施設で、複数の国際的自動車メーカーによる試作車や少量生産車向けに、この新プレートを数万枚単位で製造しています。この施設は、複合施設「水素技術センター・オブ・エクセレンス(中核研究施設)」の一部であり、ここには多種多様な試験装置も備えられています。写真 シェフラー(Daniel Karmann)
 
 
マティアス・ツィンクのプレス用写真はこちらからご覧いただけます。
  www.schaeffler.com/en/group/executive-board
 
 
ドイツ・ミュンヘンで開催される「2023 IAA Mobility」でシェフラーブースにお立ち寄りください
ミュンヘンエキシビションセンターで開催される今年の「IAA Mobility」国際モーターショーで、シェフラーは持続可能で効率的かつ快適なモビリティを実現する新技術をフルラインナップで展示します。電動カーゴバイクを使った市街地宅配ソリューション、新しいタイプのステアリングシステム、高効率な電動・水素駆動、新しいモビリティコンセプトなど、その他にも多くの新技術を披露します。
 
シェフラー記者会見
2023年9月4日(月)11:00~11:20 (CEST/中央ヨーロッパ夏時間)
シェフラーAGのCEOであるクラウス・ローゼンフェルドと、シェフラーAGオートモーティブ・テクノロジー事業部CEOであるマティアス・ツィンクが、シェフラーブース(ホールB3ブースB40)にてメディア向けに会見を行い、インターネットでライブ中継いたします。
IAAカンファレンスでのシェフラー
 
2023年9月6日(水)16:00~16:45、ホールA1メインステージ
セッションテーマ 「Towards a Sustainable Automotive Value Chain – Ambitions, Challenges & Collaboration(持続可能な自動車バリューチェーンに向けて ― 大志、課題、そしてコラボレーション)」
パネリストの1人としてシェフラーAGオートモーティブ・テクノロジー事業部CEOのマティアス・ツィンクが登壇いたします。
 
2023年9月7日(木)15:00~15:45、ホールA2ビジョナリークラブハウス
セッションテーマ 「Here to innovate: revolution needs cooperation! Disruptive thinking, new technologies, new vehicle concepts – partnerships as enablers for innovation and change(革新のために ― 大改革には協力が必要だ!破壊的思考、新技術、新しい車両コンセプト – 革新と変革のイネーブラーとしてのパートナーシップ)」
登壇者はラルフ・ブッセ(mocci | CIP MOBILITY GmbH)、カーステン・ハイネケ(McKinsey Center for Future Mobility)、デニス・ミュラー(Enchilada Franchise AG)、クラウス=ディエター・シリング(シェフラー)。
 
シェフラーとmocciは、ホールA3のIAA Summitで開催される「IAA Experience」でも提携しています。当会場の「サイクリング&マイクロモビリティコース」で、来場者はシェフラーの駆動技術を採用したmocciの電動カーゴバイクに試乗することができます。IAA Experienceは9月4日から8日までの期間、毎日9:00から18:00までオープンしています。
 
 
将来の見通しに関する記述等について
本プレスリリースには、将来の見通しに関する記述が含まれています。将来の見通しに関する記述には、現実の業績や事業活動が本プレスリリースに含まれる将来の見通しに関する記述で言明・示唆された内容と異なるリスク、不確定性や仮定が本質的に内在しています。こうしたリスクや不確定性、仮定が、ここに記載される事業計画や活動の実際の結果や財務状況に影響を与える恐れがあります。シェフラーは、新たに入手した情報や今後起こりうる事象を元に、これらの将来の見通しに関する記述を公的に更新したり改定したりする義務を負いません。これらの将来の見通しに関する記述は、本プレスリリースが発行された時点でのみ有効ですので、これに全面的に依拠することはお控えください。本プレスリリースに含まれる過去のトレンドや実際に起きた事象に関する記述は、こうしたトレンドや事象が将来的にも継続することを表明するものではありません。シェフラーもしくはその代理人によりなされた、すべての将来の見通しに関する記述は、書面もしくは口頭の伝達手段の別を問わず、上記の注意事項の適用対象といたします。
 
シェフラーグループ – We pioneer motion
シェフラーグループは、75年以上にわたり、モーション・テクノロジーの分野で画期的な発明と開発を進めてきました。電動モビリティ、CO₂効率の高い駆動、シャシーソリューション、インダストリー4.0、デジタル化、再生可能エネルギーに関する分野で、革新的な技術、製品、サービスを提供するシェフラーグループはライフサイクル全体にわたり、モーションをより効率的でインテリジェントで持続可能なものにするための信頼できるパートナーです。モーション・テクノロジー企業である当社は、高精度な駆動トレインとシャシーアプリケーション用のコンポーネントとシステム、および多くの産業機械用の転がり軸受や滑り軸受のソリューションを製造しています。2022年には、シェフラーグループは158億ユーロの売上を上げました。約84,000人の従業員を抱えるこの企業は、世界最大の同族企業の1つです。2022年には1,250件以上の特許出願があり、シェフラーはドイツのDPMA(ドイツ特許庁)によれば、最も革新的な企業の4番目に位置しています。
 

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