SiC結晶生成時の黒鉛ルツボの劣化を抑制

豊田中研のプレスリリース

株式会社 豊田中央研究所は、パワー半導体材料となるSiC(炭化ケイ素)の結晶生成を行う黒鉛ルツボ(以下、ルツボ)の劣化を抑制する、炭化タンタルの厚膜コーティング技術「SinTaC®」を開発しました。
SiCの製造は、高価なルツボを用いて目的の場所に単結晶を生成、成長させます(図1左)。この際、2,000℃以上の高温に加熱されるとともに、発生するガスによりルツボが腐食し劣化します。さらにルツボの内面へSiC結晶が固着するため(図1中)、ルツボは1度の使用で廃棄されていました。
今回、ルツボ全体にSinTaC®の厚膜コーティングを施すことで耐腐食性が向上するとともに、ルツボの内面に追加処理を施すことで、SiCが付着しても剝がれやすくなる(固着を抑制する)効果を確認しました(図1右)。その結果、ルツボの再使用が可能となり、SiC製造コストだけでなく、環境負荷の低減に貢献することが期待されます。
 
【研究のポイント】
◆ 炭化タンタルのコーティングは、膜厚が薄いとルツボの加熱時にひび割れが生じる場合があるため、均質な厚膜形成が必要。
◆ そこで、スラリー材料設計により、炭化タンタルの均質かつ厚膜化を実現する最適な条件を見出し、コーティング技術(SinTaC®)として実現。
◆ SinTaC®の厚膜コーティングに表面粗さを低減する処理を追加することで、目的の場所以外へのSiCの固着を抑えることが可能。
 

 
 
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