ラストワンマイルをテーマに「グローバルヘルス・アカデミー」第5回を開催 菅義偉氏を特別ゲストに迎え、渋澤健氏、豊田通商、ヤマハ発動機、ゲイツ財団が登壇

グローバルヘルスを応援するビジネスリーダー有志一同のプレスリリース

菅氏「新たなイノベーションの活用を含め、官民の連携が極めて重要不可欠。」

<アーカイブ動画:https://youtu.be/9weQ-1r32Mc

グローバルヘルスを応援するビジネスリーダー有志一同(以下、有志一同)は、グローバルヘルスに寄与するサービスや企業活動への理解促進・関心向上を目的としたプログラム「グローバルヘルス・アカデミー」 (以下アカデミー)」を開催しています。

アカデミー第5回は、有志一同から、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役 渋澤健氏、豊田通商株式会社シニアエグゼクティブアドバイザー 加留部淳氏、ヤマハ発動機株式会社 代表取締役会長 渡部克明氏、ビル&メリンダ・ゲイツ財団 日本常駐代表 柏倉美保子氏が登壇し、「グローバルサウスでグローバルヘルスを支える陸海空のラストワンマイル」をテーマにプレゼンテーションを実施いたしました。さらに、コロナ禍においてワクチンを中心に世界各国でラストワンマイル支援を推進された、前内閣総理大臣・衆議院議員の菅義偉氏を特別ゲストに迎え、「ワクチンと途上国支援」について講演を実施いたしました。

グローバルヘルスとは、地球上の連鎖的な健康リスクの低減に向け、国境を越え、あらゆる場所の保健医療水準を高めることです。昨今、新型コロナウイルス感染症やサル痘の感染拡大を筆頭に、グローバルヘルスに関する国際的な枠組みへの関心が高まっています。各国で政府のみならず、国際機関や官民パートナーシップなど様々な団体によって、課題解決に向けたアプローチがなされています。

有志一同は、グローバルヘルスにおけるラストワンマイルの重要性や、グローバルサウスにおける車両や船舶、ドローンを活用した陸・海・空、あらゆるアプローチからのワクチンや医療医薬品輸送の最新の取り組みを紹介しました。さらに保健・医療サービスにアクセスできない地域へ、いかにして人や物資を届けるかという課題への挑戦とその成果を発表。グローバルヘルス領域において、多くの命を救い、将来の健康危機に備えるため、日本企業との官民の連携が必要であることを菅義偉氏とともに発信しました。

  • 「ワクチンと途上国支援」

特別ゲスト 前内閣総理大臣・衆議院議員 菅 義偉 氏

日本を含む国際社会は、新型コロナウイルスの教訓を踏まえ、途上国を含む世界全体が、将来また直面するかもしれないパンデミックへの予防、備え、対応の3つを強化する必要があると思います。

日本は従来から国民皆保険制度など、これまで築き上げてきた保健システムの経験を活かし、誰の健康も取り残さないという理念を実現していくための、国際的な取り組みを進めていました。具体的には進行中の感染症危機の克服、将来の健康危機に備えた保健システムの強化、さらにより幅広い分野での健康安全保障のための国際環境の整備という3本柱を重視しました。このような方針の元に、二国間支援、国際機関を通じた支援の双方に活用し、これまでに約50億ドルの支援を実施しています。世界全体での新型コロナウイルスの収束のために特に日本が重視したのは、あらゆる国や地域で安全・有効で品質の保証されたワクチンが公平に行き渡ることです。このような考え方から、約180の国と地域が参加し、ワクチンを共同で出資・購入する国際的な枠組みであるCOVAX(COVID-19 Vaccines Global Access)などと緊密に協調をして、各国、地域に対するワクチン関連の支援で指導力を発揮すべく取り組んできました。

2021年6月にはCOVAXワクチン・サミットを主催し、私はバローゾGavi理事会議長と共に共同議長を務めました。このサミットで日本は、団結する国際社会の努力を牽引していく決意を示し、COVAXファシリティへ8億ドルの追加拠出を表明しました。国際社会の一層の連帯を呼びかけた結果、目標を大きく上回る合計96億ドルの資金を確保することができました。さらにワクチンの現物給与も進め、現在に至るまで、ベトナムや台湾への供与を含め、合計で4400万回分のワクチン供与を実施しています。また、必要とする方々へ、実際の接種につなげるための支援として、コールドチェーン体制の整備、医療関係者の接種能力の強化など、いわゆる「ラストワンマイル支援」を78の国と地域へ、総額で185億円の規模で実施しました。日本がこうした先駆的な取り組みを進め、国際協調の下でワクチンへの公平なアクセス、その実現に向けた枠組みをリードしたことで、世界全体の取り組みが一層加速したと思います。

コロナ対応での様々な取り組みやそこで得られた教訓は、本年日本が議長国を務めたG7サミット広島での保健分野での成果にも引き継がれています。特に将来のパンデミックにおいても、世界全体でワクチンなどのMCMへの公平なアクセスを確保することが重要だと思っています。そのためにG7では研究開発、製造からラストワンマイルへの手当てに至るまでの包括的な取り組みが重要だと再確認をしています。その上で日本政府はG20各国や、国際保健機関などとも協力をしながら、国際的なパートナーシップを立ち上げ、必要な人にMCMが届くようにするための具体的な取り組みを進めます。今後も新型コロナで日本が世界に先行して実施したワクチンのラストワンマイルへの支援。このことで得た知見や教訓を最大限に活用し、さらに発展していくと考えています。

私が強調したいのは、新型コロナの際のラストワンマイル支援においてもそうだったように、新たなイノベーションの活躍を含め、官民の連携が極めて重要不可欠だということです。本日の発表にもあります、ドローンやボートなどの技術の活用は、まさに日本の強みを活かした支援であり、その有用性は非常に高いと思います。今後の現場レベルでの実用化を大いに期待したいと思います。グローバルヘルスを応援するビジネスリーダーの皆さまとともに、将来の健康危機に備え、また日本が長年にわたり旗振り役をつとめてきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)実現という目標に向けて、皆さんと力を合わせて参りたいと思います。

  • 「有志一同 ビジョンと活動紹介」「グローバルサウスとグローバルヘルス」

シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役 渋澤健 氏

グローバルヘルス領域における「ラストワンマイル」とは、ワクチンをはじめ、医療アクセスが不足するエリア・人々に対し一人ひとりの手に届くことを目指しています。一方で、コロナ禍では先進諸国にはきちんとワクチンが届いていましたが、南アフリカやケニア、ナイジェリアでは十分には届かず、ワクチン格差が浮き彫りとなりました。岸田首相も、2023年9月21日に開催された「G7保健フォローアップ・サイドイベント」に登壇し、PPR(予防、備え、対応)の強化と、公平なアクセスの確保と円滑な資金動員が重要であると述べています。今回登壇する豊田通商とヤマハ発動機は、製薬会社でも医療機器メーカーでもない企業です。しかし、グローバルヘルス、医療で誰一人取り残さない社会を作ることに世界中で貢献しています。今回、企業のトップがそれを発信することに大きな意味があると考えています。

  • 「ラストワンマイルでグローバルヘルスを支える 〜ワクチン保冷輸送車とZipline(ドローン輸送)〜」

豊田通商株式会社 シニアエグゼクティブアドバイザー 加留部 淳 氏

豊田通商は「開発途上国の社会課題の解決」がサステナビリティ重要課題のひとつであり、従業員の3分の1にあたる約2.2万人がアフリカで働いています。様々なグローバルヘルスの取り組みの中で、今日はラストワンマイルというテーマで「ワクチン専用保冷輸送車」を紹介します。ワクチン輸送の必須条件は2~8℃温度管理ですが、実際には悪路・未舗装路のために約2割(400億円相当)のワクチンのロスが発生しています。この解決策がランドクルーザーの中に冷蔵庫を搭載して接種する場所までお届けし、ラストワンマイルをカバーする取り組みです。同車両は、世界で初めてWHOの認可を得ることができました。Gaviワクチンアライアンスと共同プロジェクトとしてアフリカ5ヶ国で最も過酷なラストワンマイル輸送の環境で活用した結果、ワクチンの配達コストを63%削減し、これまでアクセス不可能だったルートを開拓。そして輸送ルートを事前計画するミルクラン方式にすることによって、配達オペレーションを最適化することに成功しました。取り組みの結果、現在では1度の輸送で14.4万回分ものワクチンを運ぶことができるようになりました。

「Zipline」は、悪路や遠い地域は陸路での輸送は難しいため、空を飛ばしてしまおうという空の輸送です。現在までにルワンダやガーナなど計7ヶ国で展開しており、陸路だと4時間かかるところが空路だと30分となり配送時間の大幅な改善が可能になります。ガーナでは在庫切れによりワクチン接種を逃す機会を42%減少させるなど、かつては救えなかった人命を救うことができるようになっています。

日本では、Ziplineより技術供与を受け、豊田通商の100%出資企業である 「そらいいな」が2022年に事業を開始し、長崎県五島市にて医療用医薬品の輸送と食品・日用品の実験的な輸送をスタートしています。今後もアフリカをはじめとして開発途上国、特に医療課題・グローバルヘルスの課題解決のために努力をしていきたいと思います。

  • 「Outreach Clinicを支える ~船外機積載「保健の船」と二輪車プロジェクト(NGO連携)〜」

ヤマハ発動機株式会社 代表取締役会長 渡部 克明 氏

ヤマハ発動機は、保健・医療サービスにアクセスできない地域に、医師や保健師などが出向き、サービスを提供するOutreach  Clinicに取り組むNGOに対し、ラストワンマイルを支える製品の供給を通じてサポートしています。

東ティモールのアタウロ島は、東西に山で分断され、未舗装の山道や海岸沿いを2時間かけて徒歩で通院する場合もある厳しい環境です。そのため、妊婦検診や施設分娩、子供の予防接種等など母子保健サービスには島民の約半数しかアクセスできない状況となっていました。ここでは、保健医療支援活動を行うNGO「シェア 国際保健協力市民の会」が活動団体となり、当社和船と耐久性に優れたenduro船外機を組み合わせ、陸路では実現できない「保健の船」というOutreach Clinic 活動を海上移動によって可能にしました。

当社は使用環境に合わせた船や船外機の選定と改良を実施し、シェアは2020年に船舶を手配し、船舶の運用・維持管理の仕組みづくりなどを展開すると共に、船舶を使った移動診療を通じ、保健センターとの関係を強化。3年後に保健省に船を移譲するプロジェクトを立ち上げ、成果を収められました。保健センターもその価値を高く評価しており、現在も保健の船はアタウロ島で多くの町を訪問し、乳幼児の健康管理や島民の病気の予防に向けた活動に活躍しています。

「Riders for health」は、アフリカで活動するNGO団体です。30年に渡り、当社の二輪車AG100/200を移動手段として医療スタッフに提供し、移動診療をサポートしています。ガンビアでは現地人材を雇用し、車輛メンテナンスや安全運転指導を実施。車輛の提供を受けた医療スタッフが各村落を巡り、予防接種・クリニックの開催や蚊帳の配布を実施するサポートをしています。

昨年より「Yamaha to support Riders For Health」の活動をスタートいたしました。正直なところ、単純に寄贈のほうが簡単ですが、やはり二輪車を使ったOutreach Clinicの活動を広く世間に認知いただく活動を通じ、この活動の応援団が増える事のほうが、持続的な活動に必要であると考えており、現在も本取り組みを継続中です。グローバルヘルスの活動を進めるには、企業・NGO・政府 そして社会がグローバルヘルスに関心を持ち、それぞれの役割を担う事が重要だと考えています。

  • 「グローバルヘルス・マップサイト」公開

ビル&メリンダ・ゲイツ財団 日本常駐代表 柏倉 美保子 氏

日本企業のグローバルヘルスの取り組みを可視化し一元化する「グローバルヘルス・マップサイト」が公開されました。普段さまざまな企業や組織のお話を伺うと、想像以上に多くの国・エリアで素晴らしい活動が展開されており、それを世界地図上で見える化する新たな取り組みです。本日ご登壇いただいた企業をはじめ、有志一同の企業の取り組みも掲載されています。今後は有志一同に限らず、さまざまな企業の取り組みも紹介されます。グローバルヘルス関連のリサーチはもちろん、民間企業・国際機関・政府などのコラボレーションのきっかけになることを期待しています。

サイトURL:https://global-health.jp/

  • 「グローバルヘルス・アクション」について

「グローバルヘルス・アクション」は、世界の保健医療水準を高める国際的な取り組みです。「誰もが必要な医療にアクセスでき、世界中の人々が健康である未来を創る」という大きな目標に向けて、パンデミックの経験を踏まえ、地球上の連鎖的な健康リスクにこれまで以上に目を向ける必要があります。人々の健康は、地球上のあらゆる保健医療と密接に関連しており、アフリカを含むすべての地域での出来事が身近な問題と捉えられます。日本発のイノベーションや官民連携の主体的な取り組みにより、日本は世界の健康を支えるリーダーシップを発揮することができると考えています。有志一同は、「グローバルヘルス・アクション」で3つのことを目指します。

1.日本が世界の健康を支えるリーダーシップを発揮すること

2.日本発のイノベーションで世界の健康課題に取り組むこと

3.世界の課題への取り組みを通じて、日本の医療課題の解決につなげること

  • 「グローバルヘルスを応援するビジネスリーダー有志一同」について

渋澤 健(シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役CEO)を代表とする、グローバルヘルス(保健医療分野、特に公衆衛生分野、感染症対策分野での支援及び事業)へ貢献する日本企業等の有志団体です。製薬・医療機器をはじめとした保健医療分野のみならず、金融や商社、デジタル、サプライチェーン等多岐にわたる分野から構成され、大企業のみならず中小企業やスタートアップも含めた多様な企業の経営者が参画しています。

公式サイト:https://gh-leaders.jp/

*有志代表 渋澤 健 シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役CEO/「新しい資本主義実現会議」委員

家次 恒 シスメックス株式会社 代表取締役会長 グループCEO

遠藤 信博  日本電気株式会社(NEC) 特別顧問

柏倉 美保子 ビル&メリンダ・ゲイツ財団 日本常駐代表

金子 洋介 SORA Technology株式会社 代表取締役Founder兼CEO

加留部 淳 豊田通商株式会社 シニアエグゼクティブアドバイザー

後藤 禎一 富士フイルム株式会社 代表取締役社長・CEO

酒匂 真理 株式会社miup 創業者兼CEO

更家 悠介 サラヤ株式会社 代表取締役社長

田代 桂子 株式会社大和証券グループ本社 取締役兼執行役副社長

手代木 功 塩野義製薬株式会社 代表取締役会長兼社長 CEO

内藤 晴夫 エーザイ株式会社 代表執行役CEO

新浪 剛史 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長

日髙 祥博 ヤマハ発動機株式会社 代表取締役社長

2022年12月5日 グローバルヘルス・アカデミー第1回

有志一同から NEC、塩野義製薬、SORA Technology が登壇し、テクノロジーでグローバルヘルスを推進する新事業・技術を発表。ネクストパンデミックおよび100日ミッションに対する各社のアクションやアイディアも発信。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000076537.html 

2023年3月29日 グローバルヘルス・アカデミー第2回

結核予防会理事長 尾身茂会長と、有志一同から富士フイルム、シスメックス、エーザイが登壇し、「世界の感染症に対する日本企業の最新アプローチ」をテーマにセッションを実施。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000076537.html

2023年4月13日 グローバルヘルス・アカデミー第3回

有志一同から渋澤健氏と、エーザイ、ヤマハ発動機、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が登壇し、「新たな企業価値の指標“インパクト”とグローバルヘルス ~G7広島サミットへの新提言~」をテーマに、パネルディスカッションを実施。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000076537.html

2023年9月6日 グローバルヘルス・アカデミー第4回

世界銀行 国際保健・栄養・人口部門代表モニーク・フレッダー氏と、有志一同からサラヤ、塩野義、NECが登壇し、「官民・民間連携がもたらす『母子保健』支援の成果と最新の予防・診断アプローチ」をテーマにプレゼンテーションを実施。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000076537.html

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