日本毛織株式会社(ニッケ) のプレスリリース
近年、繊維産業はエネルギーや水等の使用による環境負荷が大きい、との指摘があり、特に、資源循環を含む環境への取組みについては投資家や生活者からの関心が高まっています。
一方で、2022年度の環境省「循環型ファッションの推進方策に関する調査」によれば、2022年の衣類の国内新規供給量79.8万トンに対し、73.1万トンが使用後に手放され、その64.5%相当の 47.0万トンが廃棄されています(下図①)。こうした状況から、衣料品の廃棄量を削減し環境負荷の低減を進めていくことが必要となっています(経済産業省「繊維製品における資源循環システム検討会報告書(2023年09月28日)」)。
【図①】
ニッケグループの株式会社フジコー(以下、フジコー)では、従来から一関工場(岩手県一関市)において古着を再原料化し、自動車用部材に使用する取組みを行って来ましたが、ボタン・ファスナー等の除去を人手に頼る(下図②)為、コスト高となり処理量も限定されています(この異物除去については、上記の経済産業省「報告書」においても、国内の資源循環システム構築上の課題として指摘されています)。
【図②】
今回、ニッケグループは、フジコー石岡工場(茨城県石岡市)に、古着からボタン・ジッパー等の異物を人手を使わずに自動で除去する設備を導入することを決定しました。 本格稼働は2025年2~3月頃を予定しており、稼働後の反毛繊維(※)の生産量は月産300トンを想定しております。これは、現在の一関工場の生産量(約280トン/年)に対し10倍規模となります。
※ウールや綿など不要になった製品や裁断くずを回収し、解毛機や反毛機にかけてわた状に戻した繊維のこと
現在、人手不足や人件費・物流費の高騰により古着の反毛事業者は減少傾向にあり、近隣に事業者が存在しない自治体では、引き取り手がいないため回収事業を継続することが困難になっている事例もあります。ニッケグループは、日本で廃棄される古着のうち約40%が発生する関東圏において、フジコー石岡工場を古着の再生・反毛化処理の拠点とすることで、国内における繊維製品の資源循環システムの維持・強化に貢献できるものと考えております。
また、2022年3月に欧州委員会が公表した「持続可能な循環型繊維戦略」では、2030 年までに EU 域内で流通する繊維製品にリサイクル繊維を大幅に活用すること等が目標となっており、多くの欧米のアパレル企業が製品づくりにおける環境問題等への配慮に関する高い目標や方針を打ち出しています。ニッケグループは、引き続き繊維産業をとりまくグローバルな動向を踏まえた取組みを推進し、今後の海外ビジネスの拡大に繋げていく考えです。
【導入予定設備(イメージ)】
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【会社概要】
社名:日本毛織株式会社(通称社名:ニッケ)
本社所在地:大阪市中央区瓦町3丁目3-10