株式会社アイシンのプレスリリース
―電源投入から65.7ミリ秒で物体検出AIモジュールを高速起動、従来比1/50の低消費エネルギーで物体検出を実現―※東北大学との共同リリースです。
国立大学法人東北大学
株式会社アイシン
【発表のポイント】
・32MB組込みSTT-MRAMを搭載した16nm FinFET AI SoCを開発し、DRAM・SSDなどの外部メモリを必要としないAI処理システムを実現しました。
・電源投入からOS起動までの時間を65.7ミリ秒(従来比約39倍高速化)、外部メモリからの重み転送などを不要とすることで物体検出などのAI処理時間を約1/10に短縮し、システム全体で約25倍の高速化しました。
・AI処理のエネルギー消費量を従来比1/50となる50.7mJ/frameの低消費電力化を実現しました。
【概要】
近年、生成AIや画像認識などのAI技術が、自動車、ロボット、カメラ、IoT機器などのエッジデバイスへ急速に展開されています。一方、エッジAIでは、AIモデルの大容量化に伴うメモリへのアクセスや、外部メモリとのデータ転送が、処理速度やエネルギー効率を低下させる大きな課題となっています。また、電源投入時にOSやAIモデルを外部メモリから読み込む必要があるため、AIシステムの起動に時間がかかるという課題もあります。
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)の遠藤哲郎教授のチームと株式会社アイシンのチームは、これらの課題を解決するため、不揮発性メモリであるSTT-MRAMをAI SoCに組込んだ「近メモリコンピューティング(Near-Memory Computing:NMC)」型AI SoCを開発しました。
開発したAI SoCは、AIモデルの重みデータだけでなく、OSのブートデータも不揮発性メモリである組込みSTT-MRAMに格納することで、電源投入時に外部SSDやDRAMから大量のデータを転送する必要をなくしました。さらに、8/16ビットのハイブリッド乗算アーキテクチャや重み共有技術を採用することで、限られたオンチップSTT-MRAM容量の中でTiny YOLOv3による物体検出を実現しました。
その結果、電源投入からOS起動までを65.7ミリ秒に短縮し、従来方式と比較して38.59倍の高速化を達成しました。また、AI処理時間は10.16倍短縮され、システム全体としては25.2倍の時間短縮を実現しました。さらに、Tiny YOLOv3による1フレームの物体検出に必要なエネルギーを50.7mJ/frameとしました。
本研究成果は、2026年11月1日~4日、台湾新竹市で開催される半導体集積回路技術に関する主要な国際学会である米国IEEE主催の「IEEE Asian Solid-State Circuits Conference(A-SSCC)2026」で発表します。
なお、この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。
研究成果および技術的な内容の詳細については、以下の共同リリース全文をご覧ください。
共同リリース全文(PDF)