ワコール、BASF社と協業し「Melooop」で自動車産業分野への展開を本格化

~アームレスト(コンセプトモデル)を「人とくるまのテクノロジー展2026 NAGOYA」に展示~

株式会社ワコールのプレスリリース

(株)ワコールホールディングスの子会社である(株)ワコール(本社:京都市、代表取締役社長執行役員:川西啓介、以下ワコール)は、自社開発技術「Melooop(メループ)」の新たな用途開発として、化学メーカーのBASFジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:ハシビ・ゼイダム、以下BASF社)との協業のもと、自動車産業分野へ進出します。

                                      
このたび、アームレスト用途を想定したコンセプトモデルを開発し、2026年6月17日~19日に開催される「人とくるまのテクノロジー展2026 NAGOYA」のBASF社ブースに展示します。ワコールは2026年5月に研究開発拠点「Melooopラボ」を開設し、同技術の用途開発を推進しています。今回の取り組みは、その一環として進めているものです。

■BASF社との協業を通じた「Melooop」の自動車産業分野への展開

ワコールは、自社開発技術「Melooop」の用途拡大に向け、これまでBASF社と連携し、同社の熱可塑性ポリウレタン(TPU)素材「Elastollan®」を用いたブラカップ用途において、共同開発を進めてきました。こうした協業実績を基盤に、「Melooop」を活用した新たな用途として、自動車分野への展開を開始しています。

 

「Melooop」は、メルトブロー法を用いて繊維から直接立体物を一工程で成型するワコール独自の技術であり、接着剤や多層構造を用いることなく不織構造の形成を可能にします。繊維を吹き付けながら立体形状を形成するプロセスにより部品を一体で成形できるため、従来の多工程製造と比較して工程削減に寄与します。また、設計段階から厚みや物性を調整することで、軽量化と用途に応じた機能性の両立が可能です。さらに、材料使用の効率化による環境負荷低減や、自動車部品に求められる耐久性確保への貢献も期待されます。

 

このような特長は、自動車部品に求められる性能要件や設計ニーズと整合しており、「Melooop」の活用が期待される領域の一つです。今回の取り組みでは、「Melooop」の成形プロセスに適した素材としてBASF社のElastollan® TPUを組み合わせています。Elastollan® TPUは、熱可塑加工性とエラストマー性能を兼ね備えることで「Melooop」のプロセスを支え、柔軟性と機能性を両立した3D繊維構造の形成を可能にします。また、製品設計および製造工程の簡素化につながるモノマテリアル設計にも貢献します。

 

今回開発したアームレストのコンセプトモデルは、「Melooop」を中核とした成形技術にBASF社の素材を組み合わせることで実現したものであり、軽量性、設計自由度、リサイクル性といった観点から、自動車部材への応用可能性を検討しています。本展示は、「Melooop」を軸とした用途開発の一例として位置づけています。

アームレスト用途を想定したコンセプトモデル。「人とくるまのテクノロジー展2026 NAGOYA」に出展
Melooopによるブラカップの生産工程。3Dプリンターで制作した型に繊維を吹き付け、成形後に型から取り外している様子
Melooopプロセスに用いられるBASFのTPU素材「Elastollan®(エラストラン)」のペレット

■両社コメント

株式会社ワコール 執行役員

新規事業開発本部長 兼 新規事業開発室長 兼 Melooop事業準備室長

久村剛史 コメント

 「ワコールは、高品質な素材、創造性、技術革新を融合させることで、日常の動きにおける快適性を追求した製品の開発に取り組んでいます。BASFとの協業により、当社の『Melooop』技術をアパレル分野にとどまらず、自動車内装用途へと展開できることを大変楽しみにしています」

 

BASFジャパン株式会社 パフォーマンスマテリアルズ事業本部

アジア太平洋地域TPUビジネスマネジメント担当バイスプレジデント

ロヒット・ループ・ゴーシュ コメント

 「ワコールが独自技術を新たな用途領域へ展開する取り組みは、BASFが重視する先進的な共創アプローチと非常に一致しています。当社は材料イノベーションおよび自動車用途における豊富な経験を活かし、ワコールのようなお客様の新コンセプト開発と新産業への展開を支援できることを嬉しく思います」

■今後の展望

ワコールは、「Melooopラボ」を起点に、社内外パートナーとの共創を通じて用途開発を進めています。今回の自動車分野への取り組みはその一例であり、今後は不織布として活用されるさまざまな分野への展開も視野に入れています。低廃棄やリサイクル性といった特長と機能性を両立する素材技術として、「Melooop」の社会実装を推進し、新たな価値創出と事業領域の拡大につなげていきます。

【参考情報】

<人とくるまのテクノロジー展2026 NAGOYA>

展示会名:「人とくるまのテクノロジー展2026 NAGOYA」

会期:2026年6月17日(水)~19日(金)

URL:https://aee.expo-info.jsae.or.jp/ja/nagoya/

 

<「Melooop」の概要>

ワコールの人間科学研究開発センターが開発した新技術「Melooop」は、不織布製造手法の一つであるメルトブロー法を用いて立体物を作製する技術です。メルトブロー法では、原料となる樹脂を加熱して紡糸ノズルから押し出し、高速の熱風で引き伸ばすことで極細繊維化するとともに、繊維同士を熱融着させることで、接着剤を使用せずに不織布を形成します。

 

<「Melooop」の特長>

①   ポリウレタンやポリ乳酸など、モノマテリアル(単一素材)のため、リサイクルがしやすい

②   繊維を吹き付けることで立体物を成型するため、廃棄材料が少ない

③   原料に染料や顔料を加えることで着色が可能なため、染色工程が不要

④  3Dプリンタで制作した型に吹き付けるため、金型が不要で、小ロット生産に適している

<ワコール人間科学研究開発センターについて>

ワコール人間科学研究開発センターは、1964年に設立されたワコールの研究機関で、「美」「快適」「健康」の視点からからだを科学的に探究しています。ここで約60年にわたり蓄積されたデータは事業の礎であり、新製品開発への活用にとどまらず、品質向上やビジネス領域拡大の基盤となっています。近年は、からだとこころの関係を紐解きながら、生活者のニーズやインサイトに基づいた製品・サービスコンセプトの提案に加え、新材料・新技術の研究開発も進めています。

<BASF社について>

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、経済的な成功とともに環境保護と社会的責任を追求しています。また、お客様のグリーントランスフォーメーションを可能にする、選ばれる化学会社になるという意欲的な目標を掲げており、世界中のほぼすべての産業に貢献しています。

 

<Elastollan® TPUの概要>

Elastollan®(エラストラン)は、BASFの高性能熱可塑性ポリウレタン(TPU)であり、耐久性、柔軟性、そして長期にわたる安定した性能を兼ね備えるとともに、高い設計自由度を実現します。軽量で柔軟な特性と優れた形状回復性により、快適で動きに応じた設計を可能にし、心地よい触感や耐摩耗性、耐油性、日常使用に対する高い耐久性によって、長期間にわたり性能を維持します。また、幅広い硬度レンジに対応し、透明性や着色の自由度にも優れているため、多様な用途における革新的な製品設計を支援します。60年以上にわたるTPU分野での専門知識を基盤に、BASFはパートナーと密接に連携し、進化する性能要求や持続可能性ニーズに応える最適な材料ソリューションの開発を推進しています。

今、あなたにオススメ