新エネルギー車の不具合指摘数は前年より増加【J.D. パワー 2024年中国新エネルギー車初期品質調査℠】

株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパンのプレスリリース

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. Powerは、現地時間(中国、上海)6月6日に、J.D. Power 2024 China New Energy Vehicle Initial Quality Study℠(NEV-IQS)(2024年中国新エネルギー車初期品質調査℠)の結果を発表した。

 新エネルギー車(NEV)の今年の不具合指摘数平均は210PP100(車両100台当たり210箇所の不具合指摘数)と、2023年から37ポイントの大幅増加となった。設計関連の不具合指摘数が2023年から35ポイント増加し、全体的な不具合指摘数を押し上げる主要な要因となっている。自動車メーカータイプ別(中国メーカー、中国新興メーカー、海外メーカー)に見ると、最も不具合指摘数が少なかったのは中国新興メーカーで、前年比+31ポイントの201PP100であった。最も不具合指摘数が多かったのは海外メーカーで、前年比+54ポイントの218PP100であった。

レンジエクステンダーEVの品質が優れており、業界をリード
レンジエクステンダーEVの不具合指摘数は全体平均よりも8ポイント低く、業界をリードしている。また、レンジエクステンダーEVは、「パワートレインの性能」と「インテリジェンス機能」で優れていた。

「運転支援」と「インフォテインメント」の不具合指摘数が大幅に増加
全10カテゴリー中、前年からの不具合指摘数の増加幅が最も大きかったのは「運転支援」の7.2ポイント、次いで「インフォテインメント」の6.9ポイントで、共に大幅な不具合指摘数の増加となった。「運転支援」で指摘された不具合は主にバックカメラで、画像が不鮮明、レンズが汚れやすい、レーダーアラートがうるさいといった指摘が目立った。「インフォテインメント」の問題は多岐にわたり、音声認識が不正確、タッチスクリーンが反応しない、ナビゲーションが不正確といった指摘が目立った。

「車内臭」と「走行音」の不具合指摘数が最多も前年より大幅に改善
「車内臭」(7.2PP100)と「走行音」(5.7PP100)の不具合指摘数が6年連続で最も多かった。ただし、昨年からの改善は見られ、それぞれ2ポイント前後改善している。

若いユーザーの不具合指摘が増加
若いユーザー(1995年以降生まれ)の不具合指摘は+47PP100と全体平均と比べて大幅に増加している。特にハンドル操作やタイヤグリップ、ペダルやサスペンションの異音等の運転体験に関する不具合指摘が目立ち、バッテリーや充電関連の指摘も多い。

J.D. パワー ジャパン 代表取締役社長 兼 オートモーティブ部門 部門長 山本浩二のコメント
 中国でNEVの競争が激化する中、各自動車メーカーは次々に新型モデルを投入し、その開発サイクルの短縮や
画期的な技術の投入、そしてコスト低減にも挑戦しています。しかしながらこれは簡単な挑戦ではなく、本調査からもNEVの品質向上に向けて各メーカーが苦戦していることが明らかになりました。
 本調査結果によると、設計不具合の数が製造不具合の数を大きく上回っています。このことから、各自動車メーカーには、中国ユーザーのNEVの使用方法や期待値を考慮した製品企画や設計がこれまで以上に求められていると言えるでしょう。
 これまでも各メーカーでは、商品企画から量産立ち上げまでの開発プロセスに品質KPIを織り込んだ管理が行われていますが、NEVのように新しい商品の開発には、ユーザー体験をしっかりと織り込んだKPIの設定がますます必要になるでしょう。そして、そのKPIを使った各プロセスでの品質管理を確実に行いながら、さらにNEVの革新的な機能の品質検証に注力していく必要があります。充分な品質を維持しつつ、NEVの革新的な開発を実施していくことができるかどうかが、今後の中国市場でのNEVの発展の試金石となるでしょう。

J.D. パワー 2024年中国新エネルギー車初期品質調査℠、各部門のNo.1を発表
スモールBEVセグメント:Geely Panda mini

コンパクトBEVセグメント:Geometry A Pro

コンパクトBEV SUVセグメント:Aion V Plus、BYD Yuan Plus(同点)

ミッドサイズBEVセグメント:NIO ET5/ET5T

ミッドサイズBEV SUVセグメント:Audi Q4 e-tron

ラージBEVセグメント:ZEEKR 001

プレミアムBEVセグメント:NIO ES8

マスマーケットPHEVセグメント:BYD Seal PHEV

マスマーケットPHEV SUVセグメント:WEY Lanshan DHT PHEV

※対象48ブランド105モデル(うち31  モデルは不十分サンプルのためランキング対象外)

※スモールBEV SUVセグメント、プレミアムPHEVセグメント、マスマーケットPHEV MPVセグメントは、本年は社内基準を満たさなかったためアワード対象外。マスマーケット BEV MPV セグメントはランキング対象外。

《J.D. パワー 2024年中国新エネルギー車初期品質調査℠概要》
年に一回、新車購入後2~6ヶ月経過したユーザーを対象に、所有する新エネルギー車の不具合経験について
「設計不具合」と「製造不具合」の2つのセグメントで構成される10カテゴリー*236項目の評価を聴取。
全ての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘数(Problem Per 100 vehicles = PP100)として集計され、
スコアが低いほど不具合指摘が少ない(品質が高い)ことを示す。

*10カテゴリー:features/ controls/ displays(装備品/コントロール/ディスプレイ)、exterior(外装)、interior(内装)、infotainment system(インフォテインメント)、seats(シート)、driving experience(走行性能)、driving assistance(運転支援)、powertrain(パワートレイン)、battery/charging(バッテリー/充電)、climate(空調)

■実施期間:2023年12月~2024年3月
■調査対象:2023年7月から2024年1月までの間に新エネルギー車を購入したユーザー
■調査方法:オンラインインタビュー及びインターネット調査   

■調査回答者数:9,791人

*本報道資料は、現地時間 2024年6月6日に中国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2024-china-new-energy-vehicle-initial-quality-study-nev-iqs

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは自動車に関するデータと分析の国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。自動車業界及び一部の関連企業に、業界インテリジェンスや消費者インサイト、アドバイザリー、ソリューションを提供しています。
独自の広範なデータセットとソフトウェア機能を高度な分析および人工知能ツールと組み合わせて活用し、クライアントのビジネスパフォーマンスの最適化を支援しています。
J.D. パワーは 1968 年に設立され、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

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