※セルロースナノファイバーを用いた伝動ベルトとして世界初(当社調べ)
バンドー化学株式会社のプレスリリース
1.開発の背景・狙い
伝動ベルトは、幅方向には高剛性を、長さ方向には柔軟性が求められ、これらの相反する特性を極大化することで高い伝動能力と耐久性を併せ持った理想の性能を発現します。また、ベルト使用時の変形に伴うエネルギー損失を抑制することで高効率な伝動特性を有する優れた省エネ性能を発現します。
当社は、これらの必要な性能を満たすべく、カーボンブラックや繊維材料等の補強材料をゴムと複合化する配合設計を行うなかで、将来的な石油資源の供給リスク克服を見据え、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を有する植物由来の新素材であるCNFに着目し、その特長を活かすためのナノ分散技術の開発を進め、ゴムの補強材料としての複合化に成功し、従来品と比べ伝動能力、耐久性に優れた世界初の伝動ベルトを開発しました。
2.CNF複合化ゴムを適用した高負荷対応ダブルコグベルト
近年、大型バギーと称される全地形対応車 (ATV) や多用途作業車 (UTV)は、エンジンの高排気量化・高出力化が進み、無段変速機構で使用されるベルトに対する要求品質も高まっています。この要求に応えるべく、CNF複合化ゴムを適用した高負荷対応ダブルコグベルトの開発を進め、従来製品に対して伝動能力を大幅に向上させ、業界最高水準の低発熱性による長寿命化を実現しました。
今後も大型バギー、大型スクーター等の伝動ベルト式変速機構搭載車両の高出力化を支える製品としてお客様のご要望にお応えするとともに、長寿命化や駆動システムのコンパクト化によるCO2排出量の削減を通じて、持続可能な低炭素社会の実現にも貢献してまいります。
なお、CNFを用いた伝動ベルトの実用量産化においては、化学品メーカーである東ソー株式会社(本社:東京都中央区)と連携して実施した、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/研究開発項目〔1〕革新的CNF製造技術の開発」の成果を一部活用しています。
【ご参考】
セルロースナノファイバー(CNF)について
植物由来のセルロースを直径約20nm、長さ数μmにほぐすことで生まれる 最先端のバイオマスナノ繊維素材です。軽量かつ高強度の特性を有して おり、資源の少ない日本をはじめ世界中で、森林資源を生かせる新素材として注目されています。
CNF複合化ゴムの特長
CNFを開発したナノ分散技術により複合化したゴムは、カーボンブラック補強ゴムでは成し得なかった、高剛性かつ低エネルギー損失という材料特性を有し、伝動ベルトの伝動能力の向上と伝動効率の改善に大きく寄与できます。この特長を活かして更にベルトの幅狭化による使用原材料の削減や低燃費・省エネルギー化を通じたCO2排出量削減等の環境課題にも貢献していきます。