自動車業界における消費者心理と トレンドの変化を明らかにした最新の調査結果を発表

サイモン・クチャーアンドパートナーズジャパン株式会社のプレスリリース

サイモン・クチャーアンドパートナーズ(本社:ドイツ、日本法人:サイモン・クチャーアンドパートナーズジャパン株式会社、以下 サイモン・クチャー)は、20カ国、8,235人の消費者を対象に実施した自動車業界における消費者心理とトレンドの変化を明らかにした調査の結果を発表しました。

車両価格は自動車購入の意思決定において最も重要な要素であり、その重要度は不確実性の高まりによって例年よりも大幅に高まっています。しかし、購入の意思決定全体で見ると、消費者は車両価格や燃費といった価格に関する要素よりも、駆動技術やブランドといった価値に関する要素を重視しています。

東京 2023年7月4日 – グローバル・コンサルティングファームであるサイモン・クチャーが2023年に実施したグローバル・オートモーティブ・サーベイによると、世界の自動車購入者の多くが経済情勢に不安を感じていました。調査回答者の半数が自身の購買力の低下を予想し、5人中3人が今後の自動車購入を延期する意向を示しました。また、20カ国で8,000人以上の消費者を対象に行われたこの調査は、自動車を購入しようとしている消費者は、近年よりも15~20%高い金額を支出する予定であることを明らかにしました。

■最新のテクノロジーに対する認識は国や世代によって異なる
世界的に見ると、電気自動車(EV)の人気はLPG車/ガソリン車とほぼ同等に迫っています(購入を検討する人の割合: EV 63%、LPG/ガソリン車 64%)。EVの検討率は依然として上昇傾向にあるものの、一部の地域では上昇率が減退しています。EVの検討率が最も高いのは中国(89%)、次いでノルウェー(74%)、最も検討率が低いのはフランス(47%)でした(日本は50%)。また、EV購入検討者の検討理由トップ3は、「環境への配慮」「規制(LPG車/ガソリン車への規制やEV車への補助金)」「より良い運転体験」でした。自動運転に対する認識は地域間よりも世代間の差が大きく、Z世代の74%が自動運転に期待を寄せており、現在の自動運転技術に不安を抱いている人はベビーブーム世代の37%に対して、わずか12%でした。

当社のシニアパートナーで自動車部門の責任者であるMartin Gehringは「EVの検討は一部の国ではピークに達していますが、価格や航続距離、充電インフラの不十分さを懸念する傾向にある、一部地域や消費者セグメントが未開拓市場として残っています。今は彼らが持つ懸念点を解消し、実際に購入いただくための適切な製品やインフラの開発、マーケティングが重要です」と述べています。

■自動車販売のデジタル化は今後も続く – ただし、対面販売の要素も必要
自動車のオンライン購入について、Z世代の55%が次回購入時のオンライン購入を希望しているのに対し、ベビーブーム世代ではわずか18%に留まっています。また、回答者の過半数が、自動車メーカーによる価格変更がオンライン販売によって、現在よりも頻繁になされることを受け入れており、3人に1人はこの変化によって、現在よりも良い条件で購入ができることを期待しています。一方で、すべての世代において、回答者の約80%が「自動車購入の際に連絡できるメイン担当者が欲しい」と回答しています。

当社のパートナーであるMatthias Riemerは「多くのお客様がオンラインでの購入を好んでいますが、車の購入はお客様にとってオンラインでの最大の買い物の1つになるでしょう。そのため、何か問題があったときに連絡が取れる担当者を求めています。信頼できる担当者との対話を提供し、オンライン販売と対面販売のギャップを埋めることが、鍵となるでしょう」と述べています。

■新しい収益モデルに対する消費者の受容性は高まりつつある
車のサブスクリプションサービスやEVバッテリーのリースサービスへの関心が若い世代を中心に高まっています。回答者の過半数である、58%(日本は54%)が「次回の自動車の購入においてサブスクリプションサービスを検討する」と回答しており、2022年の52%から6%pt増加しました。EVバッテリーのリースサービスに関しては、ミレニアル世代とZ世代の70%以上が車両とは別でEVバッテリーをリースすることに前向きです。
V2G*に関しては、V2Gを耳にしたことがある回答者は50%は留まったものの、この技術を知っている回答者の大多数は「V2Gは持続可能なエネルギーの鍵となる」と考えており、V2Gのために充電パターンを調整することに前向きでした。しかし、回答者の半数は「車両バッテリーの管理を第三者(エネルギー会社など)に任せることはできない」と回答しており、V2G導入における課題として明らかになりました。一方で、回答者の80%以上がコネクテッドカーのデータを共有することに前向きで、75%は新サービス開発のために、個人の運転データを完成車メーカーに共有することにさえ前向きです。回答者が共有してもよいと考えるデータのトップ3は「燃料/エネルギーの消費データ」「車両の技術的コンディション」「EVのバッテリーレベル」でした。反対に、共有したくないデータのトップ3は「車両の位置情報」「運転の開始点と終着点」「車両周辺の画像、映像データ」でした。

当社のパートナーであるAntoine Weillは次のように述べています。「こうした新しい収益モデルおいては、消費者の馴染みのなさや懐疑的な考えによって、消費者にためらいが生じます。そのため、認知度を高めて、収益モデルの利点を示すことがますます重要になるでしょう。V2Gは持続可能なエネルギーにおいて大きな役割を担う可能性を持っています。この技術を最大限に活用するためには、自動車メーカーと電力会社はスマートなマネタイズ戦略によって顧客を獲得することに今後注力する必要があります」

*電気自動車のバッテリーを蓄電池として活用し、電気自動車に蓄えられた電気エネルギーを電力会社の電力網に供給する技術のこと。

■調査概要
本調査について:サイモン・クチャーが2023年第2四半期に20カ国、
        8,235人の消費者を対象に実施しました。
        実施においては年齢、性別、居住地、教育レベル、雇用形態、
        所得レベルによる割付を行っています。
調査実施国  :イギリス、イタリア、オランダ、スウェーデン、スペイン、
        デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、
        ベルギー、インド、韓国、サウジアラビア、トルコ、UAE、
        中国、日本、オーストラリア、アメリカ合衆国

■サイモン・クチャーについて
サイモン・クチャーは、世界30カ国に2,000人以上のコンサルタントを擁するグローバル・戦略コンサルティングファーム。当社は、クライアントに“目に見える”売上と利益の伸長をもたらし、クライアントにとっての“良質な成長”(better growth)を“解き放つ”ことを唯一のフォーカスとしています。私どもはクライアントが何を求め、評価しているのかを深く洞察し、クライアントの製品/商品、価格設定からイノベーション、マーケティング、セールスに至る事業戦略のあらゆる側面を最適化することで、これを実現します。サイモン・クチャーは、37年間にわたり、マネタイゼーション(収益化)に関する幅広い経験を蓄積しており、世界有数のプライシング、成長戦略スペシャリストとして評価されています。
https://www.simon-kucher.com/en/country/japan

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