威志企管顧問股イ分有限公司(ワイズコンサルティンググループ)のプレスリリース
<今週号目次>
- 台湾機械産業の2022年振り返りと2023年の展望
- TSMCが明らかにした世界半導体産業の現状
- 台湾主要電池セルおよび充電スタンド企業の発展計画と投資動向
- 台湾工作機械業界2023年Q1の現状と輸出入速報
<台湾主要電池セルおよび充電スタンド企業の発展計画と投資動向 >
電池セルメーカーは台湾の蓄電・EV向け需要を生産拡大で徐々に対応
1.台湾蓄電・EV市場向けセルは需要増で明るい見通し
台湾政府は2025年までに整備する送電網側と発電側の蓄電能力をそれぞれ、1000MW(メガワット)、500MVとしている。そして30年には送電側3000MV、発電側2500MVまで拡大する計画で、関連する台湾電池産業への需要拡大が見込まれている。
また、台湾の各種乗り物や都市部におけるバスの電気自動車(EV)化が想定より前倒しで進んでおり、2040年にはEVのマイクロバスが700万台(普及率43.2%)、バイクが1400万台(同63.3%)に達する見通しで電池需要拡大へ大きな期待が寄せられている。
2.台湾主要セルメーカー、中国でラインを大規模増設
台湾の莫大な電池セル需要に応えるため、台湾の主要メーカーは中国での生産ラインの大規模拡充を行った。例えば台湾水泥(台湾セメント、TCC)は、蓄電設備に併設するEV用充電スタンド向けに高出力効率の三元系リチウムイオン電池の開発を進めている。なお同社は電動スポーツカーや電動垂直離着陸機(eVTOL)のサプライチェーン入りを果たした。
電池材料の研究を長年続ける台塑集団(台湾プラスチックグループ)は、中国の合肥国軒高科能力動源(Gotionハイテック)と提携し、グループ全体として電池セル量産後の展開を強化した。
鴻海精密工業はEV関連サプライチェーンでの連盟構築に積極的だ。自社傘下の電池セルメーカーで連盟参加企業の電動バス、電気乗用車向け電池需要を満たしている。また価格競争力で優れるリン酸鉄リチウムイオン電池も蓄電設備向けに応用可能だ。
EV普及に伴う充電スタンド産業の勃興
1.充電スタンドの普及がEV航続距離不安を解消
国際エネルギー機関(IEA)の統計によると、2019年時点における全世界のEV充電スタンドは650万台で個人所有のEV充電スタンドがかなりの割合を占めた。現在、世界各国で公共の充電スタンド建設が進んでおり、21年時点における全世界の公共急速充電スタンドが56万4000台、普通充電型が119万台にまで増えている。
同統計では、EV保有者が航続距離や充電場所を探す問題が改善されているものの、欧米では家の中に充電スタンドの設置が比較的簡単だが、東アジアでは家庭用充電スタンド設置促進のため、政府のさらなる補助が必要としている。
2.台湾メーカー、全世界で量産推進
台湾の関連メーカーは電源、重電、情報通信関連企業が多く、その技術を活かして充電スタンド関連製品を生産している。中でも台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)と飛宏科技(PHIHONG TECHNOLOGY)は欧米の急速充電市場でけん引役となっており、ソフト・ハード両面そろったトータルソリューションを提供している。
一方、その他のメーカーは普通充電スタンドを生産している。23年2月に米国政府が政府から補助を受けるEV充電スタンドは米国生産とする法案を可決した。24年7月以降は、製造コストの55%以上にあたる部品で米国製を採用しなければならないため、台湾企業の多くが米国に生産ライン設置を計画している。
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