進化したモーター状態監視機器「K7DD-PQ」を発売

オムロンのプレスリリース

 
オムロン株式会社(本社: 京都市下京区、代表取締役社長CEO: 山田義仁)は、製造現場の異常状態を人に代わって監視する「状態監視機器」の新シリーズとして、アドバンスド・モーター状態監視機器「K7DD-PQ」を2023年3月1日より日本国内で発売し、2023年4月3日から順次グローバルに向けて発売を開始いたします。サーボモーター本体や工作機械のようにモーターに取り付けられたドリルなどの劣化や摩耗の傾向を数値で把握することで、設備の点検工数の削減や設備の突発故障の防止に貢献します。



製造業における人手不足はますます深刻化しており、熟練技能者の経験や感覚に依存していた保全業務を自動化・効率化することが求められています。製造現場では、頻繁に速度が変化するサーボモーターや、頻繁に負荷が変動する工作ドリルなどのモーターの状態監視は、これまで熟練技能者の経験や感覚に頼った点検や部品交換を余儀なくされていました。また、突発停止により多大なリスクを伴う設備への対策は急務となっています。このような課題を解決するために、オムロンでは2017年12月より、強みであるセンシング技術と異常検出アルゴリズムをすり合せ、製造現場の停止ロスをなくすために、設備の異常状態の監視を実現する「状態監視機器」を提供してきました。これまで、三相誘導モーター*¹の状態監視機器や、制御盤内の温度異常を監視する機器、絶縁不良*²が検出可能な機器、そして金属ヒータの劣化傾向を監視する機器を開発することで、現場完結型の保全革新に貢献してきました。
 
今回発売するK7DD-PQは、頻繁に速度変化するサーボモーターや負荷変動の激しいモーターの状態監視が可能で、計測した電流と電圧から400種類以上の特徴量*³を演算することで多様な故障を個別に監視できます。例えば、ドリル加工をする工作機械の主軸モーターは「刃具の摩耗」だけでなく、「切粉の噛み込み」や「ベアリング劣化」など様々な故障が発生し、それぞれに対して点検を実施しなければなりません。K7DD-PQでは、事前に設定を行うことで故障モードを個別に監視することができます。また、サポートツールにより収集したデータから自動でしきい値を設定することができます。これにより、熟練技能者の経験や感覚に依存していた保全業務の自動化・効率化に貢献し、設備の突発故障を防止します。
 
オムロンは、独自のコンセプト“i-Automation!”を進化させ、未来のモノづくりに向けて人を超える自働化、人と機械の高度協調という新たな生産性のあり方を追求し、それをデジタルエンジニアリングの革新を通じて支えていきます。そして、「状態監視機器」のラインアップを拡充することで、顧客と共にデジタルエンジニアリングを革新します。
 
K7DD-PQ」シリーズの主な特長
アドバンスド・モーター状態監視機器K7DD-PQは、モーターの動力線から電流と電圧を計測することでモーター設備全体の状態を監視する機器です。
採用技術1 瞬間的な異常を見逃さない”2.5μsの高速サンプリング技術”
採用技術2 抜け漏れ/ズレなくデータを処理するための”6ch同時連続演算技術”
採用技術3 可変速設備の動きに追従する”50msの演算処理速度”
採用技術4 モーター設備のすみずみまで診断する”400種類以上の特徴量演算”
 
1、頻繁に速度が変化するサーボモーターや誘導モーターの監視を実現
モーターとその負荷側の異常は、モーターの回転軸に影響する場合が多く見られます。劣化によるローターとステーター間のギャップやトルクの変化が電流電圧の変化として現れ波形が乱れます。それらを多様な特徴量として演算することで、モーターへの振動や衝撃、トルク変動を区別して監視できます。
 

 
2、現場完結で始められる状態監視
クラウドやデータサーバーなどを活用すると、システム構築のためのスキルやIT管理者との連携を必要とします。また一般的な振動センサによる状態監視は対象装置への設置工事が必要です。K7DD-PQでは、新たなスキルを習得する必要なく、制御盤へ後付けでモーター設備の状態監視が可能となり、表示画面から異常状態を確認することができます。さらに、上位通信システムを用いることで、K7DD-PQから警報が発信された際の故障モード判別が可能になります。
 

 
3、効果検証工数を低減し、確かな成果を創出
50msでの演算処理や400種類を超える特徴量を算出することで、モーターの多様な故障モードに対応できます。これらのデータを取り扱うには非常に高度なデータ分析スキルが必要なりますが、K7DD-PQでは、これらの分析を簡易化できるサポートツールを準備しております。サポートツールを用いることで、自動で有効な特徴量を選定し、しきい値を設定することができるようになり、効果検証までの工数低減が期待できます。

 
*1三相誘導モーター:ポンプやファンなど、工場などで最も一般的に使用されているモーターです。
*2絶縁不良:電気が漏れないように筐体と電気回路を遮断している絶縁物が劣化し、電気が漏れる状態になること。絶縁不良になると感電や火災、故障などのリスクが発生し、設備の安全性、生産性に大きな影響を与えます。
*3特徴量:モーターの動力線から得られた電流と電圧データを演算し、モーターの状態変化との相関を探索する数値です。
 
 
<“i-Automation!”について>
オムロンは、独自のコンセプト“i-Automation!”を進化させ、モノづくり革新を牽引しながら、地球環境との共存と働く人の働きがいを実現し、持続可能な産業の発展に貢献する新たなオートメーションを創出します。未来のモノづくりに向け、「人を超える自働化」、「人と機械の高度協調」という新たな生産性のあり方を追求し、これらを支える「デジタルエンジニアリング革新」を通じ、オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造してまいります。
 
<オムロン株式会社について>
オムロン株式会社は、独自の「センシング&コントロール+Think」技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、ヘルスケア、社会システム、電子部品など多岐にわたる事業を展開しています。1933年に創業したオムロンは、いまでは全世界で約30,000名の社員を擁し、約120の国と地域で商品・サービスを提供しています。詳細は、https://www.omron.com/jp/ja/をご参照ください。
  
 

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